記憶と脳、集合的無意識

そもそも意識とは何か？すべての物質は無意識であり、その内側には生命もない。人間には意識があるが、脳という物質が作り出す幻のようなものである。記憶は物質の痕跡として脳に保管され、死とともに消え去るというのがこれまでの定説である。

記憶には学習、条件反射、過去の記憶という種類が存在する。記憶は数十年間も存続するが、神経系およびそこに存在する分子は動的であり変化し続ける。物質的な代謝が行われ、変わり続ける中で、記憶はどのようにして脳に保管され続けるのか？

記憶は脳ではなく、外部に保管されている仮説

脳は記憶を保管する臓器ではなく、どこか外部の記憶領域にアクセスし、読み書きをするための機能を担っていると仮定すると、いろいろなことが上手く説明できる（場合がある）。

カール・ユングの唱える、人間の意識には意識、無意識、集合的無意識という３つのレベルがあり、集合的無意識は全人類が共有しているというのは、メモリの保管場所を共有しているから。

一般的には、記憶は脳の部分部分に保管されているのではなく、ホログラム的に保存されているため、一部が損傷しても、影響を受けない脳ホログラム説が唱えられている。脳をどんなに小さくしても、その中に全体像が含まれているとする考え方である。これを確かめるために、1890年以降、様々な実験動物で、脳の一部を切除した後も、学習させたことが記憶されていることを確かめた。事故等で脳の一部が損傷しても、記憶に全く影響が出ないことがある。しかし、脳を読み書きするためのデバイスとして考えれば、これがもっと上手く説明できる。

本能。1953年にDNAの二重らせん構造が発見されて以来、遺伝子にはさまざまな性格や本能行動を司る遺伝子も含まれていると考えられていた。1990年に米国でヒトゲノムの全配列を読む野心的なプロジェクトが始まり、2001年にヒトの全塩基配列をシーケンスが完了した。人々が驚いたのは私たち人間はわずか2万2千種類の遺伝子から出来上がっていたという事実である。遺伝子は体の器官を作るようにプログラムされているが、神経回路の配線まではプログラムされていないのだ。それにもかかわらず、次のような本能行動の例がある：ビーバーの巣作り、カッコウの託卵、ミツバチのダンス、サケの遡上、クモの巣作り（ただしクモの遺伝子を改変すると異常な蜘蛛の巣を作る現象も見られている）。これらは外部の記憶装置にアクセスした結果ではないのか？

イモムシに臭いを嗅がせたときに電気刺激を与え、それを避けるように訓練した幼虫。その後さなぎになる際には、体内では、幼虫の体を構成していた諸器官が（神経系も含めて）食細胞の働きにより一旦分解される。このイモムシは蛾に変態後も、この臭いを避けるようにこの記憶を保持していた。

プラナリアは中枢としての脳を持つ。プラナリアの再生能力は高く、体をバラバラに切り刻んでもそこから個体が再生される。最近「プラナリアの頭部を切断して、尾部から再生させた個体に、切断前の記憶が残存している可能性」を示唆する実験結果が、タフツ大学のタル・ショムラット(Tal Shomrat)とマイケル・レヴィン(Michael Levin)によって報告されている。また、1950-60年代にかけて、James V. McConnellは学習訓練させたプラナリアの一部を未学習のプラナリアに食べさせ、記憶の分子を移し替えることに成功したと発表している。

シナプスが記憶を保存しているという考え方が過去100年以上主流であった。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のグランツマンはアメフラシに弱い電気ショックを与え、その記憶を新たなシナプスとして脳内に発現させた。プロプラノロール（プロプラノロールは長期記憶の保存に必要なタンパク質の生産を阻害し、記憶形成を阻止する物質）を加え、シナプスの連結を消去したが、同じ刺激を細胞に加えると48時間以内に記憶が完全に戻った。「記憶はシナプスに保存されていない」と考えられる。彼は細胞内または遺伝子変化として核内に情報が保存されていると仮定している。（が細胞が読み書きをするための機能を担っていると仮定すると説明し易い）

予知能力、テレパシー（記憶サーバーにアクセスして、他人の記憶を読む、未来の記憶を読める人がいる？）

時代精神。ニュートンとライプニッツは同時期に微積分を発明した。グラハム・ベル、イライシャ・グレイ、アントニオ・メウッチはほぼ同時期に電話を発明している。

進化（獲得形質の遺伝）

霊的なもの、死後の世界、輪廻転生（記憶移転）

アルツハイマーなど、脳の機能が障害を受ける疾病は、この読み書きする機能に問題が起こることが原因である。

夢を見ても思い出すことができないのは、記憶そのものに対する何らかの操作の過程での反応だから。

古くからあるパラドックス、「脳に記憶が保存されているなら、脳のどこに記憶を保存したかを記憶するメタ記憶が必要であり、さらにその記憶が・・・」ということを回避できる。

では、外部記憶の場所はどこにあるのか？

過去の記憶は、時間の流れと我々の経験の干渉である。経験は年輪のように時間に刻まれ残り、後からも参照できる。

リサ・ランドール博士の五次元理論に代表されるように、私たちの住む3次元世界には、並行するより高次の世界が存在する可能性がある。例えば２次元人は左の牢獄から抜け出せないが、3次元世界に住む私たちはこの壁を超えられる。3次元世界の私たちは右の牢獄を抜け出せないが、高次元世界人はこれを抜けられる。時間と空間の制限を受けずにどこでも移動できるというのは夢や思考と似てはいないだろうか？

我々の存在自体が、超高性能のコンピューターでシミュレートされた仮想現実の中を生きている可能性。その証拠に量子力学では、観察されている場合を除き、粒子の位置を正確に測定することが出来ない。多くの理論家が、その事を説明する方法を得ようと膨大な時間を費やして来た。そのひとつが、「我々がシミュレーションの中に住んでいて、あるものを見る必要がある時に見ている」というものなのだ。この場合、記憶はハードディスクの中にある。

宇宙のホログラム理論：私たちの脳は、エネルギー・フィールドを解読し３次元の映像に変換しますが、その時に物質世界のイリュージョンを創造します。実際に宇宙には物質が存在するように見えますが、これは、一種の2次元の投影でありホログラムの世界でしかありません。私たちの脳は、空間と時間を超えた、より深い式次第である他次元からの周波数を数学的に解読することにより客観的実在を創りだしているのです。ひも理論を真剣に受け止めるなら、すべての情報ビットは宇宙の一番遠くの境界に保存されているのです。
（簡単な説明としては、DVDは二次元の円盤に過ぎず、その表面には0と1のビット情報が刻まれているが、DVD再生機にかけると、あたかも時間や空間が写しだされる。DVD再生機＝脳のようなもの）

ウィスコンシン大学精神医学部のジュリオ・トノーニ教授が唱える統合情報理論によれば人間の意識や記憶は、脳細胞や神経細胞の一部分が担っているのではなく、感覚機能と神経細胞、脳細胞によって複雑に結ばれた「ネットワーク」の中にあるという考え方だ。人間の意識とは質の違う意識があるのかもしれない。（アリの集団のネットワーク、海が持つ意識、宇宙意識）。

ではその意味とは？

あの世に持っていけるのは思い出だけ。

何らかの形で我々の経験が死後も残るなら、苦しいながらも生きてる甲斐もあるってもんだ。`,､('∀`) '`,､

【参考文献】
Science Delusion, Rupert Sheldrake

とか
Wikiペディア
とか。

シェルドレイクさんとは、何度かメールのやりとりしたことあるんですが、新刊の『サイエンス・デリュージョン』を日本でも翻訳出版したいそうです。大手の出版社から商業出版が可能ならと言っていましたので、出版社さん連絡ください。私が翻訳やりますので。（*^_^*）

『サイエンス・デリュージョン』のあらすじ

Science Delusion（科学の欺瞞）とは、科学がすでに自然の真実・原理を理解しているという欺瞞です。19世紀以降、科学は物質至上主義、唯物論という信念、世界観、前提の上に立っていました。この信念が打破されれば科学は甦ると思います。『Science Delusion』では以下の10の誤った科学のドグマ（教義）を説明しています。この10の誤ったドグマが世界中で教育されています。

1）自然は機械、宇宙も機械、動植物も機械である。リチャード・ドーキンスによれば人間も機械仕掛けのロボットだというわけです。脳はコンピュータのようにプログラムされているというものです。

2）物質に意識はない。宇宙全体は意識のない物質でできている。星も銀河も動植物もすべて意識はない。だからこの100年、心理学者や哲学者は人間には意識がないということを証明しようとしてきました。物質に意識がなくて初めて自然法則が成り立つというわけです。

3）自然法則はビッグ・バン以来変わらない。不変である。

4）物質とエネルギーの総量は変わらない。

5）自然に目的はない。進化の方向に目的があるわけではない。

6)生物的な遺伝は物質に基いている。すべて遺伝形質は遺伝子という物質の中にある。

7）記憶は物質的な痕跡として脳の中にある。記憶は神経、タンパク質、脳の中にあり、その仕組みは誰もわからない。

8）意識は脳の中にある。意識の働きは脳の活動から生じ、それ以外ではない。

9）ドグマ8）から生まれるもので、テレパシーのような超能力現象は不可能だ。思考も意図も離れている対象に影響を与えない、なぜなら心は脳の中にあるから。だから超能力というものはすべて幻想か幻だ。統計的に説明できず偶然や希望的観測・思考に過ぎない。

10）機械的な治療だけが有効。よって代替療法やセラピーは政府に無視されるべきである。たとえ代替療法で効果があると見えてもプラシーボ効果だ。

しかし自然のすべては集合、全体的な記憶を持っていて共鳴します。似たものは共鳴し合います。すべての種には集合的記憶があり、結晶にもあります。初めて合成された物質の結晶が持つ情報は他の結晶に伝わり、さらに他の結晶にも伝わり、それは証明されています。また、ロンドンでマウスに学習を施すと、世界の他の場所にいるマウスは同じことを学習する速度が速くなります。実際にそういうことが起きている証拠があります。それが私の「形態形成場」仮説です。すべて固定した法則ではなく、繰り返し行う習慣に基づいています。光の速度や重力も変わります。また、イメージは脳の中にあるのではなく、心の中に投影される。心は脳を超えて広がっており脳を超えたところで認知を行うのです。誰でも「見られている」という感覚、見られていると思う経験があり、実際その通りのことが起きます。星を見る時、私はその星に触れているのです。頭の中で起きているのではありません。このような問題は21世紀に研究する問題です。記憶や意識がどこにあるか、科学の最新のトピックです。

目次

1. 自然は機械的？
2. 物質とエネルギーの総量は変わらない？
3. 自然法則は一定？
4. 物質に意識はない？
5. 自然に目的はない？
6. 生物的な遺伝はすべて物質によるもの？
7. 記憶は物質的な痕跡として保存されている？
8. 心は脳の中にある？
9.すべての超能力現象は幻？
10. 機械的な治療だけが有効？
11. 客観性という幻
12. 科学の未来